集合撮影のレンズ選択 (2015年8月27日更新)

50mm_675_50のみ
ISO100・F8・1/125(※全画像この設定です)

こんにちは。アリスパラノイア・スタジオのユキムラモロカズです。

当スタジオでは、うたプリやラブライブなどの集合撮影でのご利用をたくさん頂いておりますが、大人数の撮影は苦労も多いかと思います。こちらでの何かお手伝いができないかと常々考えおり、その一環して、今回は集合撮影のレンズ選択について、改めて考えみました。

ベテランのカメラマンさんには釈迦に説法なお話かと思いますが、写真を上手くなりたいとお考えの方に、少しでも助けになれたなら幸いです。
 
■前提
見本写真のトルソーは4体しかございませんが、間にも人が入っているとして想定し、人数の多い集合のご参考として頂ければと思います。

全ての写真は、フルサイズのカメラで撮影しております。(APSサイズのカメラの場合、具体的に選ぶ焦点距離が変わってはきますが、基本的な考え方は参考になるかと思います。)

■撮影スペースの奥行のメリット
集合撮影では、一見、広い面積が写せる広角レンズが便利に思えますが、画像の歪曲左右の壁・天井など余計なモノの映り込みが気になる場合も多いかと思います。

撮影スペースの奥行がある場合、実は、後ろに下がって、標準レンズでの撮影した方が、余計なモノの映り込みを避けつつ、広い面積が撮影できます。(アリパラの撮影スペースの奥行は7.7mあり、撮影者がかなり後ろに下がれます。)

以下、焦点距離50mmと28mmで撮影した比較写真を例に、具体的にご説明させて頂きます。


まず最初の2例は、左右の壁など、余計なモノが映らないように撮った場合です。

①焦点距離:50mm/撮影者の位置:6.75m
50mm_675_50のみ
※撮影者の位置は、壁からの計った距離です。

②焦点距離:28mm/撮影者の位置:3.75m
28mm_375_50のみ
※トルソー:壁から50cm/1m間隔で配置

50mmの方が、28mmより、空間を広く撮る事ができています。(28mmの場合、これ以上下がると正面の壁の梁や左右の壁が写ってしまいます。)

さて次の例は、左右端のトルソーを壁から150cm離した状態にしてます。まずは50mmで撮った場合です。

③焦点距離:50mm/撮影者の位置:6.75m
50mm_675_50150.jpg

上の写真を元に、できるだけ画面上のトルソーの位置が近しい印象になるよう28mmで撮ると…

④焦点距離28mm/壁から4.43m離れた位置から撮影
28mm_435_50150.jpg

上記のように、左右の壁など、余計な物が映り込んでしまいます。

同距離の場合、広角レンズの方が広く撮れるのは確かです。ただ、当スタジオのように、後ろに下がれる場合は、広角だけが選択肢ではないのです。

また、③④を見比べて頂けると分かりますが、④の場合、遠近が強調されており、奥のトルソーが小さく写っています。各人物の大きさに極端な差を付けたくない場合も、③のように後ろに下がって「標準」以降で撮る事が有効です。(この事につきましては、こちらの記事に、別途、まとめております。)

勿論、広角レンズで撮る事を否定している訳ではありません。広角レンズの特性を活かし、意図的に選択しているのであれば、問題ありません。最終的には、撮影の意図の応じた個々人の選択が正解であり個性なのです。

■補足
⑤壁のサイズ/トルソーの位置のまとめ
28mm_435_50150図面
※トルソーの高さは127cmです。
※天井は3m以上ありますが2.5mの位置で段差があります。
※①②の写真は、左右端のトルソーも壁から50cmの位置。

幅5mはそれなりの広さですが、レンズの焦点距離と撮影者の位置によって、広くも狭くも写るのは写真の面白さですね。

■被写界深度
ここで被写界深度についても説明させて頂きます。被写界深度とは「ピント位置の前後で像がハッキリ写る範囲」の事です。被写界深度は「焦点距離・絞り・被写体までの距離」によって変わります。個別に説明すると下記となります。

焦点距離:「望遠」より「広角」の方が被写界深度が深い(広い)
絞り:解放(F値を小さくする)より絞る(F値を大きくする)方が被写界深度が深い
被写体までの距離:近いより遠いの方が被写界深度が深い

焦点距離だけをみると、50mmは28mmより被写界深度が浅く(=ボケやすく)、集団撮影に向かない、という事になってしまいますが…

今回、絞りはF8で撮っています。また遠くの位置から撮影しております。その為、被写界深度が深くなるので、③の写真でもボケが発生してません。

③の写真の被写界深度は、おおよそ以下のようになります。(ピント位置は後方のトルソー)

前方深度(ピント位置より手前側の深度):約2.4m
後方深度(ピント位置より後ろ側の深度):約10.2m
被写界深度:約12.6m

上記のように、被写界深度が深いので、手前のトルソーもボケてないのです。

(ちなみに、僕も普段から被写界深度の数値をきちんと把握している訳ではなく、今回はじめて数値を出してみました。)

前方深度は常に後方深度より浅いので、原理的には、多人数が前後に散らばった撮影の際は、手前の人物にピントを合わせた方が無難です。(今回、全写真をできるだけ同条件で撮りたかったので、後方のトルソーのピントを合わせてますが。)


以上、集合撮影のレンズ選択についてのご提案でした。

勿論、今回のお話はあくまで提案です。この内容だけが正解という訳ではありません。アリパラをお越しの際には、是非、色々な焦点距離をお試頂けると、スタジオとして、嬉しく思います。

「撮影スペースの奥行は、レンズ選択の自由度であり、表現の自由度」です。

何卒よろしくお願いします。
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